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食堂へ向かおうと
レンガ調で建てられた大学のキャンパスを進んでいくと
よく晴れた秋空が
心地の良い風と
暖かい日差しを運んでくれる。
美術科の棟と食堂の間にある
芽衣子がいる音楽科の横を通り過ごそうと
ふと目をやると
風がそよぐカーテンの隙間から
バイオリンのリズムに合わせて優雅に佇む芽衣子の姿が見え
思わず魅入ってしまっていた。
リズミカルに弾む音楽と共に
揺れる芽衣子の黒髪がとても綺麗で……
「あ。ネコ」
「え?」
太一の声に
我に返り、太一が指差すほうに目をやると
青い瞳をした黒猫が
音楽科の棟の隙間から顔を出していた。
…なんだ、本物のネコか
芽衣子のことを言ったのかと思った…
「最近、大学に入り浸ってるらさしいよ、あのネコ」
食堂の残飯狙いかな、
なんて笑う太一に声をかけた。
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