第2章

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「お前、…ねこって好き?」 「は?なんでネコ?」 「いや、なんとなく」 今そこにいたし、なんて言いながら 真意を悟られまいと ケラケラ笑う太一から視線を逸らした。 黒猫が、辺りをチラチラ見回しながら遠ざかっていくのが見える。 「ネコかぁ。 ネコは懐かないからなぁ。 俺は苦手だな。 やっぱさ、 女もそうだけど、ペットも、犬みたいに従順になついてくるほうが可愛いじゃん? 忠犬ってゆーの? 俺がいないと死んじゃう、みたいな?」 結構色んな女の子と遊び回ってる太一にしてみれば 大学に入るや否や 一人の女に夢中になっている俺の方が理解出来ないようで もったいない、とそんなことばかりを言っている。 ふと、芽衣子がいた方に目をやると さっきまでカーテンが揺れていた教室はもう窓が閉められ 芽衣子が奏でていた音色も聴こえなくなっていた。
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