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「お前、…ねこって好き?」
「は?なんでネコ?」
「いや、なんとなく」
今そこにいたし、なんて言いながら
真意を悟られまいと
ケラケラ笑う太一から視線を逸らした。
黒猫が、辺りをチラチラ見回しながら遠ざかっていくのが見える。
「ネコかぁ。
ネコは懐かないからなぁ。
俺は苦手だな。
やっぱさ、
女もそうだけど、ペットも、犬みたいに従順になついてくるほうが可愛いじゃん?
忠犬ってゆーの?
俺がいないと死んじゃう、みたいな?」
結構色んな女の子と遊び回ってる太一にしてみれば
大学に入るや否や
一人の女に夢中になっている俺の方が理解出来ないようで
もったいない、とそんなことばかりを言っている。
ふと、芽衣子がいた方に目をやると
さっきまでカーテンが揺れていた教室はもう窓が閉められ
芽衣子が奏でていた音色も聴こえなくなっていた。
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