第2章

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芽衣子と出逢ったのは 半年ほど前。 大学の入学式の日だった。 高校からの友人であった太一と一緒にオリエンテーションに向かい だらだらと学校の説明を聞き 終了すると同時に講義室を出ると 押し寄せる人混みに足元を取られた。 「うわ、あっぶね」 「……いたっ」 え? 振り返った俺に、怪訝な目を送る女がいた。 「あっ!ごめん!」 彼女の足を踏んでしまったらしく、急いで足を退かし、平謝りで謝った。 その時の女の子が、芽衣子だった。 その瞬間だった。 俺が芽衣子に惚れたのは。 いわゆる一目惚れ。 一目惚れなんてするはずない、と豪語していた俺 …だったけど、 その考えが一瞬にして崩れ去った。 芽衣子は決して可愛いと思える表情をしていたわけじゃなかった。 足を踏んでしまったことに対して 俺を思い切り睨んでいたし。 それでも 芽衣子はその場にいた男らの視線を独り占めしていた。 綺麗な黒髪のロングヘアに、くっきりなパッチリ二重 瞳は少し茶色くて、はっきりした顔立ち 雰囲気は大和撫子なのに、どこか欧風なイメージを持ち合わせた彼女。
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