第1章:賭場の禿鷹

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「神聖な賭場でグラサイ(※イカサマ用の細工したサイコロ)使うなんて許せねぇ! てめぇのようなブタ野郎は博打の神様に代わって俺が成敗してやる!」   マッシーが大声で怒鳴りながら剣を抜く。 「ま、待ってくれ! 俺が悪かった」  小太りが床に平伏する。 「反省してんのか、コラ!?」 「し、している。猛省している」 「二度とイカサマはしねぇと誓うか?」 「ち、誓う。博打の神にかけて、二度とイカサマはしないと誓う」 「よし。それじゃあ有り金全部置いてきな。そうすりゃ命だけは助けてやる」  小太りが泣きそうな顔で頷くと、マッシーがようやく剣を鞘に収めた。  結局小太りは、有り金全部と全ての持ち物とズボンと上着とシャツと靴下を置いて姿を消した。  小太りが、早春のシルバスタ城下を全裸でストリーキングせずに済んだのは、パンツも置いていかせようとするマッシーを座の一同がなだめてくれたおかげである。
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