2章:娼館の荒獅子

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「そろそろ本気を出すぜ」 「あ……あん」  マッシーの声にララーが喘ぎで応える。  マッシーは口の中で短い呪を唱えた。  部屋全体に薄い桃色の霧が立ち込めると、どこからともなく妖しげな二本の腕が現れる。  その腕がララーの乳首のあたりを攻め始めると同時にマッシーも肛門からその下の肉の亀裂へと舌で攻撃を開始する。  だらしなく開かれたララーの口から”お”と”あ”の中間くらいの発音の吐息が洩れる。  マッシーが呪を唱え、召喚したのは、男女の交わりを司る桃色神に仕えている精霊の一つであり、巷で”スウィート・バイオレンス”と呼ばれている一種の召喚獣である。  桃色魔法によって呼び出される精霊・魔人の類は、娼館獣という隠語で呼ばれ、またそれらを呼び出す魔法は娼館魔法と呼ばれている。  主に戦場や軍事施設で発展してきた黒魔法、教会や医療施設で発展してきた白魔法に対し、桃色魔法はその性質上、主に娼館で発展してきた魔法と言える。それゆえにそういう隠語で呼ばれるのであろう。  ララーの秘部が既に充分すぎるほど濡れているのを確認すると、マッシーは股間の”魔剣”を突き立てた。  伸縮自在、硬軟自在、マッシー自慢の逸品である。 「ま、マッシー、あ、アレを、アレをやってぇ~」  喘ぎながらララーが懇願する。  ”アレ”と言うのは桃色魔法の中でも最大の秘術と言われている禁呪のことである。  魔法大国シルバスタの長い歴史の中でも、この桃色魔法の禁呪を使えた者はいまだかつて三人しかいない。  一人は約八百年ほど前に初めて桃色魔法を一つの魔法形態として系統付けた人物と言われる謎の桃色魔道士エロックであり、二人目は百五十年ほど昔に45歳という短い生涯で前人未到の一万人斬りを達成したと言われる伝説の性豪マラダインである。  マッシーを入れてたったの三人。  しかも百五十年前のマラダインに関する伝聞には様々な誇張が含まれていると言われているし、八百年前のエロックにいたっては実在の人物かどうかさえ定かでない。
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