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シルバスタ王マクダエルとその家族が生活する王宮の中庭に、小鳥のさえずりが聞こえている。
ポカポカとした陽気が、雪国に待望の春が来たことを告げていた。
その穏やかな陽光を浴びながら、マッシーは大きな庭石に腰掛けている。
マッシーの隣に座っているのはまだ7~8歳の少年であった。
名をボッキーというこの少年、作春から王宮の補修に来ている宮大工の息子なのだが、本人は魔法剣士に憧れていて、常に少年用の短い木剣を持ち歩いている。
ほとんどの大人が相手にしてくれない中で、マッシーだけが近衛兵という職務を無視して遊んでくれるので、自然と仲良くなっていた。
「師匠の番だよ、早くやってよ」
ボッキー少年がマッシーをせかすように言う。
知らないうちにマッシーはこの少年から師匠と呼ばれるようになっていたが、何の師匠かは不明である。
もしかしたら言っている本人にもわからないのかも知れない。
「ふむ」
マッシーは数メートル前方の地面をじっと睨みながら、おもむろにハナクソをほじくりだした。
ほじくりだしたハナクソを丸め、そのまま親指と人差し指でピンと弾く。
弾かれたハナクソは4mほど向こうの地面に落下したあと、コロコロと転がり、地面に突き立てられた木の棒の5cmほど手前で止まった。
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