23人が本棚に入れています
本棚に追加
小太りの左隣に座っている痩せた長髪の男が、座の中心に置いてある三つのサイコロを手に取って2、3度振ってから放り投げた。
出たサイの目は2、5、6。
「うん。13なら悪くないね。こりゃ隣にツキが移っちまったかね?」
小太りがニコニコしながら言う。
小太りを無視して今度は長髪男の更に左隣の男がサイを振る。
4、4、6。
「おっ、今度は14か。こりゃまいったね」
「いい加減黙れや、コラ!」
頬傷の男がジロリと小太りを睨む。
さらに二人ほどがサイを振り、ようやく頬傷の男の番になった。
頬傷の男の目は3、5、6。
悪くない目だが、頬傷の男はニコリともしない。
3つのサイの目の合計が大きい方が勝ちという単純な賭博である。
勝負は”親”と”子”の勝負で、親は持ち回りになっている。
親が落ち目の時は子方は大きく張るし、逆に親がツキ目の時は張りを控えるのがセオリーである。
ここまで子方の目は総じて悪くない。が、目の良さとは裏腹に皆張り額が小さい。
最初のコメントを投稿しよう!