忘れられない人

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ー真宏の両親に会う日曜日ー 憐光の家に泊まった真宏は用意をするため隣の自分の家に戻り服とズボンを着替え始めた。 数分後、着替えを終えると真宏は家を出て鍵を閉め隣の家に戻り玄関先で言った。 『準備できたか』 『準備できました』 憐光は玄関に行き靴をはき始めた。 真宏は敬語で話す憐光に笑みを浮かべた。 『ふふ…』 『どうしたんですか?』 『俺に敬語で話すから、恋人なんだから敬語はもう使うな』 『わかり…わかった』 『ふふふ…』 真宏は敬語で言いそうになり言い直す憐光に再び笑みを浮かべた。 そして真宏と憐光は仲良く出掛けていった。 そんな真宏と憐光の姿を夏目、橋本、佐々木が睨みながら見つめていた。 ー真宏の実家ー 1時間かけて真宏の実家にやって来た真宏と憐光はドアを開け玄関に入ると真宏が叫んだ。 『母さん、いる?』 『はい…よく来たわね』 母親が現れると憐光は頭を下げた。 『父さんは?』 靴を脱ぎ真宏と憐光は上がった。 『いるわよ』 『客間にいるから父さん連れてきて』 真宏は憐光を連れて客間に向かった。 ー客間ー 真宏は座布団を取り憐光に渡すと座布団を置き座った。 憐光も座布団を置き真宏の隣に座った。 『緊張してきた』 『憐光』 真宏は憐光の手を握った。 それからしばらくして母親と父親が客間に現れ向かい合って座った。 『父さん、母さん、紹介するね…杉田憐光さん』 『杉田憐光です…真宏さんと付き合ってます』 憐光は父親と母親に頭を下げるとうつ向いた。 『父さんも母さんもお前たちのこと反対はしないよ、杉田さん真宏のこと幸せにしてやってください』 『お願いします』 母親と父親は憐光に頭を下げた。 『必ず幸せにします』 憐光も頭を下げた。 母親と父親と憐光は顔を上げた。 『泊まっていくんだろ』 父親は真宏に言った。 『うん…』 『母さんは食事の準備があるから真宏とお父さんは風呂に入ってきたら』 『俺、手伝います』 『ありがとう』 母親と憐光はキッチンに向かった。 『久しぶりに一緒に入るか』 『背中洗ってやるよ』 真宏と父親は浴室に向かった。 ー浴室ー 真宏は父親の背中を洗いながら口にした。 『れんが死んで父さんにはたくさん心配をかけた…ごめん…今度こそ幸せになるから』 『ああ…』 父親は涙を流した。
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