忘れられない人

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『まだ見てないな、こんな笑顔』 れんと腕を組んで楽しそうな笑顔で写っている真宏の姿を見て憐光は悲しくなった。 しばらくして真宏は目を覚まし体を起こすと憐光が持っている写真たてを奪った。 そして真宏はベットからおり写真たての中から写真を取りだし机の中に入れた。 『……』 『見られたくないならこの前、来たとき隠せたよね、そうしなかったのはまだ…』 『違う』 真宏は振り返り憐光を見た。 『……』 憐光はベットから立ち上がり真宏に近づくと抱き締めた。 『写真を片付けるのを忘れてたんだ、俺が好きなのは…ん…』 真宏は憐光に口を塞がれた。 『ごめん…真宏の見たことない笑顔に俺…れんさんに嫉妬した…』 『馬鹿だな』 真宏は憐光をベットに押し倒しズボンを脱がせると再び快楽に溺れた。 『朝ごはんの準備が出来たから2人とも起きなさいよ』 母親は部屋の前で言った。 『わかった』 真宏は憐光と体を重ねながら返事をした。 『真宏…仕事があるから…』 憐光は体を起こし真宏をどかせた。 『わかったよ』 真宏はタンスの中から服とズボンを出し着始めた。 『先に行くぞ』 憐光はズボンをはき部屋を出ていった。 『待てよ』 真宏は追いかけていった。 その頃、母親はキッチンで父親が使った皿と箸とコップを片付けていた。 『おはようございます』 憐光はテーブルに近づきながら母親に挨拶をした。 『おはよう』 母親は2個の茶碗にご飯を入れテーブルに置いた。 憐光と真宏は椅子に座り食事を始めた。 『父さんは?』 『仕事に行ったわよ』 母親は洗濯物を干しに行った。 『家に戻ったら仕事に行くから』 『今日、店長に会ってくる…仕事辞めるために』 『1人で大丈夫か』 『大丈夫』 真宏と憐光は食事を終え茶碗や箸やコップを洗い片付けると母親を玄関に呼んだ。 『また遊びに来てね』 『はい』 靴をはき憐光と真宏は家を出ていった。 歩きながら憐光は自然に真宏の手を握った。 『どうしたんだ』 『初めての体験だったから感動しちゃって』 憐光の目から一粒の涙が流れた。 それを見て真宏は口を開いた。 『初めてってお前…』 『はい、両親は俺が幼い頃に病気で』 『ごめんな、知ってたら…』 真宏は手を離し立ち止まった。 憐光は振り返り真宏に近づき抱き締めた。 『謝らないでください、真宏のお陰で俺にも家族が出来たんだから』 『憐光…』 真宏は両手を伸ばし憐光を抱き締めた。
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