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『今日はこのままここに泊まってもらいます、明日、脳の検査をします』
『真宏の側にいてもいいですか?』
『いいですよ、何かあったら看護婦に言ってください』
『わかりました』
憐光は部屋を出ていく二宮に頭を下げた。
そして椅子に座り真宏の様子を見守った。
『ううう…』
目を覚ました真宏は体を起こし椅子に座って眠っている憐光に目線を向けた。
真宏は逃げようとベットからおりるとふらつき倒れながら置いてある椅子を倒した。
音に築き目を覚ました憐光は倒れている真宏に近づき体を支えた。
『嫌だ』
真宏は憐光を突き飛ばしうつ向きながら怯えた。
突然の出来事に憐光は驚き言葉を失った。
小さな声で『嫌だ、嫌だ』と言いながら怯える真宏の姿を見て憐光は『何もしないから安心して』と優しく声をかけた。
『……』
怯えながら真宏は憐光を見た。
『何もしないから近づいて良いかな?』
『……』
真宏は頷いた。
憐光は立ち上がり真宏に近づくとしゃがみこんだ。
『杉田憐光って言います、憐光って呼んでください』
手を伸ばし触れようとする憐光に真宏は少し離れた。
『ごめん触れられるの嫌なんだよね…俺は別の部屋にいるから休んで、明日、先生が検査するって言ってたから』
『検査?』
『脳の検査するって…じゃあ俺は行くよ』
憐光は立ち上がり特別室を出ていった。
『……』
真宏は立ち上がりベットに近づくとベットに上がり布団をかぶって眠りについた。
憐光は喫煙室に行き椅子に座ると煙草を吸い始めた。
『真宏…何があったんだ…』
頭を抱える憐光の前に二宮が喫煙室に入ってきた。
憐光は顔を上げ二宮に頭を下げた。
『隣良いですか?』
『あ…はい…』
『彼の側にいなくていいんですか』
二宮は憐光の隣に座り煙草を吸い始めた。
『俺がいると怯えるからいない方が…別の部屋にいるから何かあったら知らせてくれって言ってあるから』
『恋人って言ってたけど付き合いは長いんですか』
二宮の問いに憐光は黙り込んだがすぐに話し始めた。
亡くなった恋人のことや真宏の身に起きた出来事すべてを話した。
二宮は憐光の話を真剣に聞き口を開いた。
『たぶんだけど真宏君は記憶喪失かもしれないな、病院に運ばれる前に何かあったんじゃないかな記憶を失うような何かが』
二宮は煙草を灰皿に捨てた。
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