忘れられない人

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『そういえば今日、仕事を辞めるために店長に会いに行くって言ってたな』 『そこで何かが有ったのかもしれないな、記憶を失うような出来事が』 『俺、真宏が働いてた喫茶店に行ってみます、真宏のことお願いします』 憐光は煙草を灰皿に捨て椅子から立ち上がると喫煙室を出ていった。 二宮は再び煙草を吸い始めた。 そこへ看護婦が喫煙室に入ってきた。 『運ばれてきた男性のことがずいぶん気になるみたいね』 『当たり前だろ患者なんだから』 煙草を灰皿に捨て椅子から立ち上がり喫煙室を出ようとする二宮の腕を掴んだ看護婦は壁に追いつめ唇にキスをした。 『やめろよ』 二宮は看護婦を押し退け喫煙室を出ていった。 ー次の日の朝、特別室ー 目を覚ました真宏は体を起こし布団をたたむとベットからおり窓際に近づくと外を眺めた。 そこへ看護婦と二宮が入ってきた。 『おはようございます…眠れましたか』 『……』 真宏は振り返り看護婦と二宮を見た。 『今から脳の検査をします、準備が出来たらレントゲン室に来てください、朝倉さんお願いします』 二宮は看護婦の朝倉に任せレントゲン室に向かった。 『パジャマに着替えてください、準備が出来たら声をかけてください』 看護婦はパジャマをベットに置き部屋を出ていった。 真宏はベットに近づきパジャマに着替え始めた。 3分後、着替えが終わると真宏はドアを開いた。 『着替えました』 『こちらです』 朝倉は真宏をレントゲン室に連れていった。 そして朝倉はドアを開き真宏を中に入れた。 『二宮先生、連れてきました』 朝倉はレントゲン室を出てドアを閉めた。 真宏は閉まるドアの音にドキッとした。 『……』 『お待たせしました、ベットに仰向けで寝てください、すぐ済むから心配しないで』 『……』 真宏はベットに仰向けで寝た。 『検査を始めますね』 二宮はボタンを押しベットが動くと丸い中に入り脳のレントゲンを撮った。 そして1分後、ベットは元の位置に戻った。 『……』 『終わりましたよ』 体を起こしベットから下りようとしている真宏に二宮は近づいた。 『…ありがとうございました…』 『診察をするので特別室に戻っててください』 二宮がドアを開けると真宏は黙って出ていった。 二宮は真宏の脳のレントゲン写真を見つめるとすぐに特別室にレントゲン写真を持って向かった。
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