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その頃、真宏は特別室のベットに座って外を眺めていた。
『……』
ドアが開き二宮がレントゲン写真を持って入ってきた。
『お待たせしました』
二宮は椅子を持って真宏に近づくと椅子に座った。
『右の脳に損傷が有ります、何か嫌な出来事が起こりその時に頭をぶつけて損傷したんだと思います…記憶を失ったのもそれが原因じゃないかなと思います…』
『…あの人は?…』
外を眺めていた真宏は二宮を見た。
その頃、憐光は真宏の母親から聞いた喫茶店で店長の沢村と話していた。
『夏目と橋本と佐々木が真宏を…あいつら許さねぇ…そのせいで真宏は記憶を失ってるんだ』
『記憶を』
『あいつらどこにいるかわかりますか』
『警察にいるよ』
『え!…警察…』
『俺が警察に連絡して3人を逮捕してもらった…俺のせいだな…』
沢村は椅子に座った。
『会ってみますか』
『会っても怖がらせるだけだ、会わない方がいい…真宏君のこと本当にすまなかった』
沢村は椅子から立ち上がり憐光に土下座をした。
『あんたは真宏を助けてくれた』
憐光は沢村を立たせた。
『許してくれるのか、あんたがしてきたことは許せないけど今回のことはあいつら3人が悪いあんたは助けてくれた』
憐光は紙に病院の名前と病室を書きその紙を沢村に差し出した。
『……』
沢村は紙を受け取り見た。
『そこに真宏はいます、俺は真宏の着替えを取りに行かないといけないから』
憐光は店を駆け出していった。
ー特別室ー
『脳の治療をするため1ヶ月ほど入院してください、いいですね?』
『…はい…』
『記憶の方はゆっくり思い出していけばいいですから、絶対に無理に思い出そうとしないでください』
二宮は真宏の手に優しく触れた。
その時、朝倉が入ってきて二宮は真宏から離れ部屋を出ていった。
朝倉は後を追い二宮の腕を掴むと掃除道具が入った部屋に連れていった。
『何だよ、誰かに見られたらどうするんだ』
『見られてもいいじゃない』
朝倉は二宮を壁に押しあて唇にキスをした。
二宮は朝倉を突き放し『病院にいるときはこういうこと止めろと言っただろ』と怒りなが言った。
『患者に恋心を抱いて優しくするのはいいわけ』
『何言ってんだ』
二宮は部屋を出ていった。
朝倉も部屋を出て看護婦の仕事に戻った。
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