忘れられない人

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『うう~ん…』 目を覚ました二宮は隣で寝ている真宏に驚いた。 真宏は二宮に寄り添い顔を埋めて眠った。 二宮は真宏を起こさないように机の上に置いてある携帯を取り朝倉に電話をかけた。 朝倉は屋上で携帯を開き『もしもし剛志、今忙しいの…』と電話を切ろうとしたその時、二宮が『真宏さんなら家にいるぞ』と言った。 『真宏さんが!何で剛志の家にいるのよ』 『家のまわりを走ってたら曲がり角で真宏さんとぶつかったんだ、病院には戻りたくないって泣くから…1人にするわけにもいかないから俺の家に連れてきたんだ』 二宮は隣で眠る真宏の寝顔を見つめた。 『今から剛志の家に行って良い』 『良いけど、お前が抜けて大丈夫なのか』 『真宏さんの担当だから、婦長に言えば大丈夫よ』 『わかった』 『鍵、開けといてね』 電話を切り朝倉は屋上を出て婦長の元に向かった。 二宮は真宏を起こさないようにベットからおり部屋の電気を点けると部屋を出て行き玄関に向かうとドアの鍵を開けた。 そして二宮はソファーに座り煙草を吸いながらテレビを見始めた。 それからしばらくしてドアが開き朝倉がリビングにやって来た。 『剛志、真宏さんは?』 『寝室で寝てる』 煙草を灰皿に捨てた。 『何もしなかったでしょうね』 『するわけないだろ』 『……』 二宮のバスローブ姿に色気を感じた朝倉は二宮の膝にまたがり唇を重ねた。 二宮は朝倉の体を押し『やめろ』と言った。 二宮の膝にまたがったまま朝倉は『真宏さんに見られたら困るから嫌がってるの…真宏さんに惚れてるんじゃないの』と言った。 『何言ってんだ、真宏さんは男だぞ…それに真宏さんには恋人がいるんだ』 『好きなら関係ないわよ』 朝倉は二宮のバスローブを脱がせながら唇を重ねソファーに二宮を倒した。 朝倉は二宮にまたがったまま全裸になり誘った。 『ねぇ剛志、抱いて』 『…やめろ洋子…』 『抱けないってことは真宏さんを好きだからでしょ』 朝倉は全裸のまま二宮から離れた。 その時、朝倉は寝室から出てきた真宏と目が合った。 『真宏さん』 『え!』 二宮は体を起こし寝室の方を見た。 真宏は全裸の朝倉に乱れたバスローブ姿の二宮を見て驚き寝室に入っていった。
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