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『真宏さん!…洋子、服を着ろ…』
二宮は寝室に行き閉まったドアに向かって真宏に『話があります、中に入って良いですか?』と声をかけた。
部屋の中の真宏はしゃがみこんで怯えていた。
『…嫌だ…嫌…あああ…』
『真宏さん?入りますよ』
ドアを開けて二宮は苦しむ真宏に近づき抱き締めた。
真宏は泣き叫びながら暴れた二宮は『大丈夫、俺が真宏さんを守るから』と真宏を抱き締めた。
服を着てスカートをはいて寝室に行った朝倉は真宏を抱き締める二宮の姿を見つめた。
『…剛志…真宏さんには恋人が…』
『洋子、杉田さんに連絡してここに来てもらってくれ』
『わかった』
朝倉は携帯を開き憐光に電話をかけた。
真宏は二宮に抱き締められながら『会いたい…れん…』と言って涙を流した。
しばらくして気持ちが落ち着いた真宏は目を閉じ眠った。
『真宏さん?眠ったのか』
二宮は真宏を抱きかかえベットに下ろすと布団を体にかけた。
じっと真宏の寝顔を見つめる二宮に『連絡したわよ、タクシーで来るって言ってたから30分くらいで来るんじゃないかな』と朝倉が言った。
『そうか』
二宮は寝室を出てドアを閉めるとリビングに行き椅子に座った。
あとを追ってリビングに行った朝倉は二宮に近づいた。
『杉田さんに言いなさいよ、何で真宏さんが特別室を逃げ出しここにいるのか』
『……』
二宮はテーブルに膝をつき考え込んだ。
『剛志』
朝倉は二宮の肩に触れようと手を伸ばしたその時、ドアが開き『すみません…』と憐光の声が玄関から聞こえた。
朝倉は玄関に行き憐光をリビングに案内した。
『二宮先生、真宏はどこに』
『……』
二宮は椅子から立ち上がり憐光に目線を向け『俺、真宏さんが好きです、側で守ってやりたいと思ってます』と真剣な顔で告白をした。
『何言ってんだ、それより真宏はどこです』
『こっちです』
朝倉は憐光の腕を掴み寝室に連れていった。
『この部屋にいるんですか』
『はい』
朝倉が頷くと憐光はドアを開き中に入るとベットに近づき眠っている真宏を抱きかかえ寝室を出て玄関に行った。
真宏を抱きかかえたまま憐光は靴をはきリビングの方に向かって『お世話になりました』と言って家を出ていった。
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