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ビクッとなった真宏は箸を床に落とし体を震わせた。
憐光は『ごめん…びっくりしたよね』と言い真宏から離れ箸を拾った。
真宏は火を止め振り返ると憐光に『いきなり抱き締められると…あの時…』と言いかけ目から涙を流した。
『ごめん、俺が悪いんだ』
憐光は涙を流す真宏の目を服で優しく拭い抱き締めた。
『今日1日、真宏と過ごす』
『仕事があるんじゃないのか』
『店長に電話をかけた休ませてくれって』
『憐光』
真宏は憐光の背中に両手をまわし抱きついた。
その頃、二宮は真宏が気になり仕事に身が入らないでいた。
そんな二宮を見ながら看護婦たちはこそこそ話をし始めた。
朝倉は二宮に近づき『二宮先生、話があります』と言って二宮の腕を掴み朝倉は屋上に行った。
『話があるって何だよ』
『仕事に身が入らないくらい気になるの真宏さんのことが』
朝倉は二宮の顔を見つめた。
二宮はうつ向き『側で守ってやりたいと思ったのは真宏さんが初めてなんだ』と言い顔をあげ朝倉を真剣な顔で見つめた。
本気の二宮に朝倉は『剛志の思い伝わると良いわね』と言って応援をした。
二宮は朝倉の応援の言葉に驚き『すまない』と謝った。
『謝らないでよ』
『ごめん…だって俺たち…』
『うまくいくかわからないけど、剛志の思い真宏さんにぶつけなさい』
朝倉は二宮の肩に手でポンポンと叩き笑みを浮かべた。
『洋子…』
『もし真宏さんにふられたら私が慰めてあげる』
『もしふられたとしてもお前の元には…』
『もちろん友達としてよ…じゃあ私、先に行くわね』
朝倉は屋上のドアを開き階段を下りていった。
ドアはひとりでに閉まり二宮はドアにもたれながら座り込み空を眺めた。
『洋子と別れてまで側にいたいと思った人が男だなんてな』
空を眺めながら二宮は笑みを浮かべ真正面を向いたその時、二宮は男性の姿を見た。
『何で、誰もいなかったのに』
二宮は驚きながら立ち上がり男性を見た。
『真宏に近づかないでくれ、君じゃあ真宏を幸せにはできない』
『何であんたにそんなこと言われなくちゃいけないんだ』
『俺は三上れん、真宏の恋人だって今は違うけど…死人だから』
『れん?』
二宮は真宏が言っていた名前を思いだし近づいてくるれんを見た。
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