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「おまえ、馬鹿か。うちはそんなに甘くない。我が家にある7ヵ所のトイレ掃除は子どもたちが当番制でやっていたさ。養成高校なんて天国みたいなもんだ」
タツオはカザンがなにかを話したがっているように感じた。決戦を間近に控えて、いったいなにを話すというのだろうか。かつては仲のよい幼馴染(おさななじ)みである。ふと思いついて話してみる。
「カザン、お願いがひとつある」
カザンはうなずいたが慎重にいった。
「なんだ? 勝ちは譲らないぞ」
「そんなことじゃない。暁島会(ぎょうとうかい)とうちの班の生徒についてだ」
カザンは目を細め、腕を組んだ。
「聞くだけ聞いてやる」
いい機会だ。以前からカザンに伝えたいことがあった。
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