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 朝から東島進駐官養成高校の文化祭を知らせる花火が打ちあがっていた。文化祭は近郊住民の祭りでもあるので、多くの人が毎年集まっている。今年の目玉は近衛(このえ)四家の子息が対決する1年3組の異種格闘技トーナメントだった。  タツオは早朝からシャワーを浴びて身体(からだ)を清め、身体を起こすためにグラウンドを散歩した。ジョージもいっしょだ。その朝は「止水(しすい)」の発動訓練をおこなってはいない。午後イチから始まるトーナメントのために体力と精神力を残しておかなければならない。  ジョージが肩を並べて歩きながらいった。 「観の『止水』のほうはどれくらいの完成度になったんだい?」  肩をすくめるのも面倒だった。
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