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第1章ポルターガイスト
「大きい」
森の奥底に建つ館を見て少年がポツリと呟いた。
「おいおい、他にももっと感想があるだろ。不気味だとか気持ち悪いとか暗いとか」
少年の傍らに立つ青年が呆れた声で突っ込んだ。
「……薫さん、それわざと?」
ジトリと横目で睨まれた青年は慌てて少年へと首を振る。
「俺、わざと言わなかったんだけど?」
なんで言うのと首を傾けた。
「え~?俺悪くない!どちらかというと俺被害者!!八つ当たりそれただの八つ当たり!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人の回りで他のメンバーが溜め息をつく。
「どうでもいいが早くしないと日がくれる。お前達僕の言いたい事は分かるな?」
絶対零度の微笑みで二人を黙らせるとスタスタと館の中へと入って行った。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆◆ ◆
「……何ていうか調べるまでもないような気がするのは俺だけか?」
「いや、僕もだ。というより、何だこれは。」
眉間に皺がよる。
話が違う。
「依頼人からの話ではポルターガイストはない。でも視線を感じる。たがら調べて下さい。だったはずです。どうしますか?李樹」
「どうしたもこうしたもこれは立派なポルターガイストだ」
「それ以外に理由はありませんね。どうしますか?」
「……何が原因なのか調べる。彰子と真子は館の中を視て回って下さい。薫と夕方はベースの準備を。僕とルカは調べ物をする」
あらかじめ用意されていた部屋へと荷物を運ぶ。
薄暗い廊下を真っ直ぐ進んだ一番奥が俺達のベースだ。
ベースは別の言葉に置き換えると本拠地、つまり重要となる部屋の事で、荷物を沢山持って来た俺達にとっては非常に有難い。
元々ベースとなる部屋は用意されていなかった。
それを知った俺達の所長はベースを無理言って用意させた挙げ句一番広い部屋をもぎ取ってきた。
「いやさ?有難いよ?うん、ベースがあるのは有難いけどさ…」
「……もうちょっと言い方ってものがあるよね」
俺と薫さんは遠い目をしてお互いの肩を叩きあう。
「やっぱ躾しようよ。絶対必要だと思う」
「だな。俺も賛成だ」
ベースへと繋がる扉へと手をかけながら頷きあう。
ガチャリと扉を開け中へと入った。
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