第1章ポルターガイスト

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「……李樹さん、もっと他に言い方があると思う」 「関係無い」 「……………………………」 いや、関係無いってあんた…。 呆れて思わず溜め息がでる。 「薫さん、ルカさん。所長の躾しようよ…」 絶対必要だと思うよ。 夕方の呆れ具合から色々察した二人は静かに首を上下に振った。 「結論から言う。今回僕達は依頼人から騙されていた。だいたい依頼内容自体がおかしかったんだ」 確かにそうだ。 今回の依頼は依頼人はポルターガイストはないと言っていた。 ただ、視線だけを感じるからそれの正体を暴いて欲しい。 改めて思い返してみると依頼人が結構若かったような………あれ?依頼人の顔を思い返そうとすると靄がかかって思いだせない。 「ねえ、誰か依頼人の顔を覚えている人いる?」 何度考えても思い出せなかった俺は他のメンバーへと聞く。 「おいおい、そんな事も覚えてないのか?依頼人の見た目は……」 そこで薫さんの言葉が止まる。 バッと顔を上げ俺を見る。 「覚えてねえ…というより靄がかかって思いだせねえ」 薫さんの言葉を聞いた後、俺は目がスーッと細まるのが分かった。俺と薫さんの険しい顔を見た李樹が口を開く。 「薫と夕方が思っている通り僕も思い出せない。理由は二人と同じだ。ルカ、お前はどうだ」 「だめですね、全く思い出せません。」 李樹へと首を振りながらルカさんが言う。 「やはりな、僕もずっと考えていた。顔どころか名前すら思い出せないんだ」 「名前すらか、確かに思い出せねえな。って事はますます依頼人が怪しくなってきたな」 「怪しいなんてレベルの話じゃないよ…ねえ李樹これからどうするの?」 不安、困惑、焦り。 このままではまずい。 特に彰子だ。 表情にそのまま感情が出てる。 分かりやすい。 素直なのは良いことだけど、それは時に牙をむく。 不安や焦りは人から人へと伝染しやすい。
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