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またいつもの小学生同士の言い合いみたいになってしまったと思い、私はしばらく黙りこくった。
洋野の方も無言で、ようやく私の隣に腰を下ろす。
沈黙が続く。
どうして上手く伝わらないんだろう。
自分の不器用っぷりがもどかしくてたまらない。
「――分かった」
「え…」
面倒な女だと呆れられてしまったんじゃないか。告白を撤回するんじゃないかという自分勝手な不安が脳裏に走る。
洋野がこちらを見る。
またあの射るように真っ直ぐな、逸らせなくなる視線だ。
「こうしよう。牧原は髪を伸ばす。俺も伸ばす」
「?!」
「二人とも伸ばして、二人の髪が肩を過ぎた時点で両想いの場合のみ付き合う、っていうルールはどうだ」
「……」
「それなら既に髪が肩を越えてるからジンクスは無効だし、牧原だけじゃなくて俺もやるから平等だろ」
「…………ぷっ」
あまりに真剣な面持ちに罪悪感はあったものの、堪えきれなかった私はとうとう吹き出してしまった。
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