三度目の恋に触れる髪

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「なぁ牧原」 「なに」 「牧原って、小学生の頃は髪長かったよな」 「…何それ突然。髪型は大体は今と同じようなショートだよ」 「大体…? ――あぁ、分かった。一緒だったの6年生の時だったからその印象が妙に強いんだわ。卒アルの写真も長かったしな。 けどどうして中学でまた短くしたんだ?」 その質問をする意図をこっちが訊きたいくらいだ。 「…十年以上も前の髪切った理由なんて、自分でもいちいち覚えてないって」 愛想笑いを浮かべてそう返した。 嘘。本当は鮮明すぎるくらいハッキリと覚えている。 しかも、正確には髪を切ったのは中学生になってからじゃないと訂正する事さえ出来る。 「どうでもいいじゃんそんな事」 あぁ嫌だ。心音が速まってきた。 さっき飲んだ生中が今頃回ってきたせいにしてしまいたい。 「でも牧原、俺が入社した頃は長くなかったか」 「――!!」
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