第2章

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あれから彼奴は 俺の隣で眠っている。 ガチャガチャと 手錠を動かすけど 取れる気がしない。 打つ手なし、か。 困ったな。 夕闇「煩いぞ。」 起こしちゃうし。 俺は、無視した。 夕闇「さて、起きるか。」 え? 俺は時計を見た。 まだ 四時半だよ? 夕闇は、起き上がり 背伸びをした。 「随分、早いんだな。」 夕闇「…気になるのか?」 「いいや。」 夕闇「仕事だ。」 「聞いてない。」 仕事、か。 いつも、こんなに早くに起きて 仕事してたんだな。 けど こっちとしては、都合がいい。 一人の時間が増えるからな。 夕闇は、出て行った。 さて どうやって逃げ出すかな。 ……逃げ出して、何になる? 俺が拉致監禁されようと 心配してくれる人なんて いねぇんだよね。 「彼奴と一緒に居た方が、いいんじゃねぇの?」 彼奴は、初めて、俺に 愛してると言ってくれた。 俺を 必要としてくれた。 でも セックスすることが、愛なのか? 監禁することが、愛なのか? 愛されたことなんか、ないから わからない。 どれが正しくて どれが間違っているのかさえ、わからない。 夕闇「…行ってくる。」 ! 夕闇がスーツ姿で現れた。 俺は、睨み付けるだけだ。 夕闇は、悲しそうな顔をして 扉を閉めた。 「…行って、らっしゃい。」 なぁ…何で、こうなったんだ? 愛して、くれてるなら 同棲しようって、一言…言えばよかったんじゃないの? そしたら俺…ついてったよ? なんで? 「監禁なんだ?」 解放してくれる気なんて ないんだろう?
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