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悔しくて、悲しくて
でも
気持ち良くて
わけわからなくなった。
犯され、情緒が終わる。
鎖に繋がれ…性奴隷じゃねぇか。
抜け殻みたいに
動けなかった。
こんなの、俺じゃない。
違う…俺は…こんなんじゃない。
…なら、俺は、誰だ?
俺は…龍牙…
「ククッ…情けねぇんじゃねぇの?」
弄ばれて、抵抗出来なくて
いや、違う。
抵抗出来なくて、じゃない。
抵抗しなかった、だ。
快楽に身を委ねた。
なら
いっそのこと…なにもかも、委ねたら楽になるのか?
ダメだ、そんなことしたら…
本当に、俺が俺じゃなくなる。
取り返しがつかなくなる。
俺は、性奴隷なんかじゃない…
俺は、龍牙だ。
夕闇「……どうした?」
夕闇が身を起こし尋ねてきた。
「良く、そんなこと言えるね。」
夕闇「…何故、逆らう?」
俺の隣に横たわり、再び尋ねてくる。
答える義理は、ないな。
夕闇「……無視か。
どうやら、龍牙という人間は、そう簡単には
壊れないらしいな。
大抵、プライドが高くて粋がってる奴は
恥辱を味わえば、簡単に壊れるもんだがな。」
まるで壊してきたみたいな言い方じゃねぇの。
…ん?
待て
まさか…
「…俺以外にも、いるのか?」
夕闇「俺様の質問には、答えないのに
俺様には、答えろと?
随分、偉いもんだな。」
嫌な奴。
「逆らう理由は、あんたが嫌いだからだ。
俺の質問に答えろ。」
夕闇「ストレートだな。
だが
俺様に答える義理は、ない。」
「やっぱり、嫌いだ。」
夕闇「俺様は、愛してる。」
もっと
マシな愛し方は、ないのか?
「なぁ…愛ってみんな、こんなもんなのか?
あんたが俺にしてることなのか?」
夕闇「……そうだ。
愛情を与える者は、愛情を与えられた者を
従え、監禁する。
これが、愛だ。」
……これが、愛、か。
「…なら、いらない。」
愛した者を守ろうとして
死んだり
愛した者と一緒になれない運命だから
心中したり
共に愛し合って
子供が出来て、幸せに暮らしたりするのは
本の世界だけなのか。
この世界は、愛された者は
従られ、監禁される、そんな
悲しい世界だったのか。
知らなかったな。
彼奴は、俺に…知識をくれる。
ハハッ…まだ、俺は、彼奴が…こいつが好きなんだな。
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