第1章

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興味のない授業を受けて 下校した。 明日、明日になれば会える。 俺を弟として見てくれる彼奴に。 家に帰ると アルコールの匂いがした。 あのおじさん、また飲んでるんだ。 あの、おじさんとは 俺の父親。 血のつながりがないから 父さんなんて、呼ぶ必要はないでしょ? 母さんとは血のつながりがある。 血のつながりとか 正直、うっとおしいしどうでもいい。 俺にとっては 二人とも他人だもの。 愛情をくれるわけじゃない。 普通の中学生だったら 家に帰れば手作りの料理とかがあるでしょ? 俺、手作り料理とか、食べたことないんだよね。 覚えてないんじゃなくて 物心ついたころから レトルト食品とか、冷凍食品なんだよね。 食パンとかスコーンとかコーンスナックとか。 俺は帰って何をするというわけもなく 部屋に戻った。 あの女、どこ行ったんだろ。 生活費は置いて行っただろうな? 男と遊ぶのも勝手。 ただ 生活保護を受けてるんだから その金には手を出さないで欲しい。 まぁ 今更だけどね。 「龍牙ぁ!!」 …俺の名を呼ぶ、おじさん。 俺は制服を脱いで ワイシャツ姿になり 下に下りた。 「なに?」 おじさん「!こぉい!」 おじさんは、自分の隣を何度も叩いた。 俺は動かない。 「酒なら、もう、ないよ。」 おじさん「いいから!座れ!!」 だるい。 そう思いながら おじさんの隣に座った。 酒臭い。 おじさん「……脱げ。」 「は?」 何言ってんの? おじさんは至って真剣な顔で 俺に 脱げって言った。 「おじさん、酔っ払いすぎ。」 おじさん「男同士だろうが! 脱げ!!」 「気持ち悪いよ。」 俺は立ち上がり 怒鳴り声を無視して自分の部屋に戻った。 また、だ。 俺のこの身体が…この顔が…人をおかしくする。
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