第1章

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待ち合わせ場所に着くと夕闇は、まだ来ていなかった。 …十分前か。 良かった。 間に合った。 待ち合わせ場所は、いつものレストランの前。 此処で一緒に食事して喋って帰る。 毎週一回だけだ。 今の俺はこの日が楽しみなんだ。 夕闇の話は勉強になって つまらない日常に刺激をくれる。 俺は、知識が欲しいんだ。 自分の知らない事を知る、それは とても楽しい。 新鮮でワクワクする。 ! 「夕闇!!」 俺は夕闇を見つけ名を呼んだ。 夕闇も俺に気付き 笑った。 夕闇「いつも早いな。 待ったか?」 「ううん。待ってない。行こう?」 夕闇「あぁ。」 夕闇とレストランに入った。 いつもの席に座りいつも通りに話をした。 全ていつも通りだった。 「また、告白されたんだよね。 後輩に。」 俺がこの話をするまでは。 ! 夕闇の表情が曇り出した。 「夕闇?」 夕闇「!ん?どうした?」 ? いつもの顔に戻る夕闇。 …気のせいかな。 「…夕闇、もしかして 具合でも悪いの? 顔色、良くないよ?」 夕闇「ハハッ。そんなことはない。」 コツン 俺は夕闇の額に自分の額を付けた。 「本当だ。 熱は、ないみたい。」 離れると夕闇の表情が曇っていた。 ? 気に障ること、したかな? 夕闇「龍牙は、俺以外にも こんなことするのか?」 声がいつもより低い。 「しないよ。」 気持ち悪いし。 あれ? なんで 夕闇には平気なんだ? 夕闇「そうか。 今日はもう、遅い。 家まで送ろう。」 「大丈夫だよ。 この時間帯なら。 いつも、この時間帯だし。」 俺は帰るとわかって 席をたった。 夕闇「待て。」 「っ…ゆ、夕闇?」 乱暴に強く手首を掴まれた。 夕闇「家まで、送ろう。」 「?…なん、で?」 夕闇「もっと龍牙と話したいんだ。」
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