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俺は半ば強引に車の助手席に乗せられた。
此処で気付くべきだったのかもしれないな。
何かが狂い出してるって。
夕闇は車を出した。
あれ?
「夕闇、道、違う。
何処に、行くの?」
夕闇「俺の家だ。
まだ
見てなかっただろう?」
「でも、俺、もう、帰んなきゃ…」
夕闇「少しだけだ。
な?いいだろう?」
「…少しだけ、なら、いい、よ?」
夕闇が家に連れて行ってくれんのは
普通に、嬉しい、けど
なんで?
こんなに強引だったんだろう。
ん?
夕闇が車を停めた。
人気のない
公園に。
「夕闇?
夕闇の家、どこ?」
…辺りを見回して家らしきものがなかったから
夕闇を見たら
夕闇の顔が目の前にあって
少し驚いたけど
俺は気にしないように振舞った。
夕闇「龍牙、お前を俺は愛してる。」
「え?ぅわっ」
夕闇はそのまま俺の椅子のレバーを引き
俺の両手首を掴んで
俺の頭上で束ねた。
「ゆ、夕闇?なんの、真似?」
夕闇「俺はお前を愛してる。
お前は俺を愛しているか?」
ガチャ
え?
嘘…手錠された。
わけわかんないけど
愛してる?
俺を?
そんなの言われたことなんかない。
俺は、夕闇を愛してる?
それは違う。
だって
愛って何かわからないのに
愛しているかって聞かれて答えられるわけ
ないじゃん。
「わからないよ、そんなの。」
夕闇「…愛情がわからないんだったな。」
俺は頷いた。
夕闇「悪かったな。
変な事を言って。
詫びに飲み物を買ってくる。」
夕闇はそう言って出て行った。
なんだったんだろう。
「つか、買いに行く前に
これ、外してくんないんだ。」
俺は手錠を見て苦笑いした。
オモチャには見えないんだよね。
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