第1章 船上パーティーへ

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また、暑い夏がやってきた。 都会のアスファルトの照り返しによってその暑さは何倍にもなって感じられるのだった。 夜になっても昼間の暑さが余韻となって残り、なかなか熱が冷めないでいた。 都会であるがゆえの暑い夏だろう。 そんな暑い夏をまた一人で過ごさなければならない女が一人ここに居た。 岡田由紀子は、看護師をしている、二十四歳の女性だ。 由紀子の住んでいる町は、都心から少しだけ離れている。 閑静な街並みが美しい所だ。 街路樹の緑がとてもきれいな景観をしている。由紀子は、この町をとても気に 入っていた。 散歩に出かければ、ヨーロッパ風の並木道が続いており、四季折々の美しさを見 せてくれるからだ。 仕事で疲れた時でも、この街路樹の並木道を通れば気持ちが安らぐのだった。 由紀子は、高校を卒業して、四国から、都会へと出てきたのだった。 そして、病院で、看護助手として、働きながら、看護師の資格を取っていた。
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