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「何よ、せっかくの機会なのに」
付き合い初めの蜜月、楽しんじゃえば良いじゃん。
実由の言いたいことは何となくわかる。
シンくんと長く付き合ってる実由を隣で見てきたから、色々もどかしい思いも、たまには辛い思いもすることがあるかもしれないってのも理解してる。
だからこういうのは行けるときに行って、楽しむ時は他のことは置いておいて思いっきり楽しまないと、ってことなんだろう。
じゃないといつも会うのはどちらかの家、仕事が忙しければ会えない時期もあったりするし…。
二人を見ているとメリハリを付けながら、周りに迷惑もかけず4年も本当にうまく付き合っていると思う。
「誕生日にイルミネーションなんて、美里が一番好きなシチュエーションでしょ?」
「それは確かにそうなんだけど…」
煮え切らない返事をしながら言い淀んでいれば、実由は小さく息を吐いて「どうしたの?」と笑った。
今まで付き合ったのは、ほとんどがスマートな振る舞いをする年上の大人ばかりだった。
夢見がちな私の思考をちょっと覗いてみれば分かると思うが、そういう現実離れしたのが大好物なのだ。
記念日や大切な日には小説のようなドラマのようなシチュエーションを選び、自分もちょっと背伸びをしてイベントを楽しんできた。
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