理想的なRatio.07

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  「なんかさ、イルミネーションはもちろん見たいんだけど…」 「見たいんだけど?」 見たいんだけど、何だか雰囲気に流されるのがもったいない気がして…。 雰囲気に流されるのをむしろ好き好んで選んでいたくせに何を今更、と自分で自分に突っ込みながら、思い浮かべるのはにやり、でもニコッでもなく、ふふふって感じで笑う結婚したい男No.1の顔。 テレビや雑誌で見てきた若手俳優“ 高橋祐也 ”ではなく、今時の若者にしては純朴な“ 江村祐也 ”の姿。 「だってさ、芸能人と誕生日デートなんてそれだけでおいしいシチュエーションじゃん?イルミネーションまでつけなくてももう十分っていうか、なんていうか…」 真面目に語るのが何だか恥ずかしくてちゃかして軽い口調で話してみたが、簡単に言ってしまえば、もう一緒にいれるだけで十分なのだ。 告白されたとき、生まれて初めて“ 落ちる ”感覚を味わった。 そんな相手に好きだと言われて、誕生日を祝ってもらえるだけで十分じゃないか。 今まではどこか見栄を張ってるところもあったんだと思う。 自分が本当に好きで好きで周りも見えないって恋愛じゃなく、どこか周りに自慢して見せたい恋愛を造っている感じだった。 結婚したい男No.1とのことは彼の立場どうこうを置いておいても、何だか隠して独り占めしておきたい気分。 まぁ、実由には何もかも話してしまっているから正確には独り占めではないんだけど…。 「“ イイワケ ”」 「は?」 「って、顔に書いてある。…好きなんだねぇ、王子のこと」 「…はは、実由には敵わないよ」 *
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