14人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
それは、ある日の休日だった。
「主様~、ちと手伝ってくれんか?」
「あぁ、ちょっと待ってろ」
アパートの外で、家財道具やゴミ出しをする僕と銀杏は、大家さんからの依頼でこの作業をしているのだ。
僕等が住む部屋の真下の住人が、定年を機に故郷に帰るとの事だ。
元々、単身赴任でこのアパートを借りていたらしく、故郷には奥さんがいるそうだ。
今時変わってると言えばそうなのだが、上の階に住んでいる手前、不要品の部屋出しを手伝っているのだ。
「随分と古めかしい品もあるな?」
「大家さんの話しだと、10年以上住んでたんだってさ。僕も挨拶程度しか面識なかったけどね」
.
最初のコメントを投稿しよう!