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殆どの家財道具を処分するだけあって、その量は男性1人分とはいえ結構な量になっている。
「…ん?これは?」
古びたダンボールから僕が取り出したのは、女性ものの手鏡。
「おかしいな?どうして手鏡が…」
「京治さーん!」
その声に僕が辺りを見渡すと、1羽のカラスが降下し、着地と同時に人に化ける。
「…何用だ?風子」
「ちょっと~。土地探しから帰って来て早々に酷く無い?と言うか、何してるの?」
「アパートを引き払った人の片付けの手伝いさ。ちょっとコレが気になってね」
「何々?…フムフム」
手鏡を風子に手渡すと、銀杏もその手鏡を見ると、彼女は「ほぉ…」と言って顔をニヤつかせる。
「主様よ、この手鏡、明日には九十九神になるぞ?」
「つくも?」
「京治さん、物ってのはですね、長い年月が経ち、大事にされると魂が宿るのですよ」
「物に魂が?」
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