第四章

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ー*ー 「応急措置ではあるが、何もせんよりはマシだな」 手鏡の周囲をしめ縄で囲み、ロウソクで更に囲む銀杏に、僕は質問を投げ掛ける。 「銀杏、さっき言ってた禍ツ神って何だ?」 「先に説明したが、物は大事に長い年月使われると九十九神になるが…例外によってもなる」 「例外?」 「要するに、粗末に扱われて捨てられた物も、時として九十九神になるのです。まぁ、それは九十九神ではなく、禍ツ神となるのです。しかも厄介なのは、禍ツ神になると、持ち主に激しい憎悪を持ちます」 背筋がざわつく僕に、銀杏は「案ずるな。主様よ」と言って巫女の衣装に神通力で着替えた。 「明日までこの手鏡を封じ込めておけば、禍ツ神にはならぬ。今の刻限は23時と30分…風子、居候ならば手を貸せい」 「そりゃあ、ホームレスになりたくないですからね。協力はしますよ」 団扇片手に身構える風子と、結界の前で座り込んで呪文を唱える銀杏。 「あと30分か…」 .
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