第四章

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カチカチと壁時計の秒針のみが鳴る。 「にしても、今夜で幸いだったな。隣の人は旅行で留守で助かったよ」 「確かに幸いですね、あ、そう言えば新婚旅行は何処に行ったんです?」 「こんな時に主様に何を言っておるか!…来たぞ!」 カタカタと手鏡が突然動き出すと、銀杏が作った結界から出ようとして暴れ出す。 「出させはせんよ!その結界はワシが拵えた特別製だ。抜け出すのは不可能だ」 まるで暴れる様に結界から出ようとする手鏡に、銀杏は「結!」と一喝。 すると、手鏡の動きは止まり、部屋は静まり返った。 「と、止まった…?」 「風子、時間は?」 壁掛け時計を風子が銀杏に言われると、彼女は「0時ジャストよ」と答えた。 「…もう大丈夫か?」 「油断はならぬ。だが、峠は越したと言っても良かろう」 .
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