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【Esquisse Side】
この街で猛威を振るっていた麻薬密売組織が、わずか五人の中高生によって潰された。
彼らこそ、暁光学園で十二師団を組織したと言われているペスカ……えーとなんだっけ。
俺は、そんな奴らに喧嘩を売るわけなんだけど。
「今の状況を狙っていた。今日、暁光学園にいる生徒は少ない。なぜならゴールデンウィークだからだ」
「つーか、連休中に学校にこれだけの生徒がいるって信じられるかよ? 普通じゃありえんぜ鶴吉?」
「仕方がないだろう。十二師団の与えた影響なのだから」
この暁光学園は奇妙だ。
教師は勉学を指南するだけの存在意義しかもたず、入学式から運動会まで何もかもを生徒会が計画する。
生徒会長は学園の全てを掌握する権利を持っていて、俺達は彼女の命令には絶対服従せねばならない。
って、まあそんな説明はどうでもいいや。
会長が独裁政治をした場合において、それに抗うパワーを持った組織こそが十二師団なんだ。
学園のほとんどが、この組織の傘下にある。もちろん俺と鶴吉もだ。
だからこそ、組織でトップの座に近い奴の部屋に盗聴器を仕込めたといえるだろう。
「さて本題に入ろう。今回盗聴器を仕込んだのは鳥海篤志の部屋だ」
鳥海。十二師団の参謀として名高い男。
眼鏡から覗く瞳は、まるで獲物を狙うカラスのよう。
緻密かつ卑劣に、相手が嫌がることを何度も何度も繰り返す、十二師団でも屈指の強者だという噂を聞く。
エスカレーター式で入学した奴らのなかではメジャーらしいが、俺は入試でパスして入ったので、この組織のことを理解しきてれいない。
ただ、学園内から異様な空気を感じるのは確かだ。
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