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雲の鳥~再生~
少年は俯いてた。
〝ああ、どうしてこうも上手くいかないんだろう〟
背に負った言の葉の売れなさと言ったら、それこそ言葉にできなかった。
少年は言葉を紡ぐことが好きだった。
けれど少年の言葉は誰も笑顔にすることはできなかった。
だから一日、また一日と過ぎていくごとに、少年の身体は小さくなっていく。
少年の小さな体のどこに、少年が足を引きずるほどにも積み重なった言葉が隠れていたと言うのだろう。
答えは簡単だった。
〝僕の余命も、後3時間と言ったところか〟
ああでも、言葉を紡いだ時点で減っているのだから、正確な〝余命〟は定かではない。
〝どうしてこうも上手くいかないことばかりなんだろう〟
少年が涙をこらえるために、不意に見上げた空で――――。
まるで恋愛小説のキスシーンを捲るような儚さで。
一つの生命、雲の鳥が羽ばたいた。
火の鳥が燃え尽きた灰から蘇るように、
雲の鳥は再生の〝灰〟を空に撒いた。
その姿は、〝空〟を蘇らせようとしているようだった。
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