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星の呼吸、目覚めの朝
僕らのたどり着いた海岸は、
七色だった海の『残り火』と言っても嘘にならないぐらいキレイで、――――哀しかった。
何かから逃げていた激動の夜が終わり、
誰かの亡骸を踏みつけ、蹴り飛ばし、それでも立ち止まることのなかった夜。
一人の少女を守れなかった証明は、誰かの〝墓〟にも見える二本の剣だ。
消えていく影と、
残される影と。
誰もが待ち望んでいた。
誰もが息を飲んで、言葉を殺し、目を見開いて、『 』を待っていた。
波の音さえも、波風の冷たささえも、掻き消すように撫でるように打ち滅ぼしていく〝太陽〟が、あの水平線の雲の切れ間から、恥ずかしがりながら顔を出す――――〝その瞬間〟。
彼女は生まれて初めて、日の出を見た。
〝必ず君に日の出を見せる〟――――誰かと交わした約束が、今更になって朝を告げる6時の鐘の音と、重なり重なり――――混ざり合う。
どこかの誰かが同じことをしていたのだろう。
祝福とブーケ。
透明な翼の生えたウエディングドレスと、陽光に満たされたタキシード。
夜を告げる6時の鐘が鳴り響く前。![image=490293737.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/490293737.jpg?width=800&format=jpg)
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