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ピクリ
銀月が幻想郷に入った頃、大きな金毛の三角の狐耳が大きく一回動く。
その耳の持ち主が身体を起こす。
「藍、起きたかしら?」
寝室の扉の向こう側から声が聞こえる。
「ええ、紫様もですか?」
扉の向こう側にいるのは藍と呼ばれた女性の使えている、言わば上司の様な存在だ。
名を八雲 紫。
「そうね。久し振りに彼等の妖気を感じたからかしらね。それともう妖気を隠されちゃったから、彼等の捜索は明日からにしましょうか」
「はい」
「それじゃあおやすみ」
「紫様も、お休みなさい」
紫は扉から離れて自室へと戻っていく。
「銀月……」
ふと呟いた藍のその口調は少し嬉しそうにしていた。
藍は一度闇夜で輝いている満月を眺めてから再び眠りについた。
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