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「それ、社長が言いたいだけなんじゃ……」
社長が泰然自若と構えて椅子に鎮座しつつ、目を閉じて遠き日を回顧する。
何、この人中学生?思考が完全に武勇伝話したがる頭のゆるい中学生だよ。そもそもこのおっさんが不良と喧嘩したなんて眉唾ものだろ。というかイモータル鈴木ってどんなネーミングセンスしてんだよ……。それを得意気に語るこのおっさんもおかしいけど。
「社長、そんな話何の役にも立ちません。依頼について聞きたいんですけど……。まさか何も聞いてないなんて言いませんよね?」
「逆に聞こう。他に何か不明な点があるかね?ただ不良を追い出すだけの簡単なお仕事なんだがなぁ。」
「仕事こっちに丸投げな上に、仕事は成功させろってわがまますぎるだろ……」
これ、ブラック企業よりたち悪いんじゃねえの……。まあ今日もパシリさせられるよりはマシだけど。大体なんでこのおっさん、こんなに偉そうなんだ……。
「話はまとまったな。では頼んだよ。街の平和を乱す悪しき不良にしかるべき罰を!」
社長が高らかに宣言する。こいつ、強引に話を終わらせにかかったぞ。俺はむしろあんたにしかるべき罰を下してやりたいよ。
しかし不良の相手か……。なまじ過去にトラウマがあるだけに、足を引っ張らないか心配だ。願わくば、トラウマが原因で足が竦んだりしないことを祈るばかりだ。大丈夫、俺はヒーローなんだ。きっと大丈夫……と思いたい。
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