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「生き物を虐めたら可哀想だ、アレーシャ」
そんなあたしに、決まって言うのがラマーンだった。
ラマーンは前に雪の森で行き倒れ、凍え死にかけていたところをあたしが拾ってきた人間だ。
つまりラマーンもあたしの所有物。
所有者のあたしに意見するなんて気に入らない。
「可哀想だって? あたしは面白いよ。コイツらはあたしと遊ぶために一緒にいるんだ」
「恐怖で従えさせても、本当の意味で君の側にいる訳じゃない」
ラマーンは他の生き物と違って、首輪に繋いでも、一度もあたしの言うことに頷いたことなんて無かった。
「ラマーン、お前はそうやっていつもあたしを怒らせる。どうしたらお前もあたしの言うことを聞くんだ。……そうだ、これはどうだ?」
あたしは、腰にくくりつけた宝箱をラマーンに見せつけた。
「見ろ、これはお前が倒れてたとき大切そうに抱えてた宝箱だ。宝箱と言っても鍵を開けなきゃただの箱だ」
けれど鍵もあたしが持っている。
何も言わないラマーンに見せつける。
「お前は何度もこの宝箱を開けられるのを拒んだな。どうだ? いまここで鍵を開けてやると言えば、お前は泣いてあたしに従うか?」
ラマーンは、少し黙ってから言った。
「……君の背中の傷を見せつけられる方が、俺はよっぽど胸が痛いよ」
「――――黙れっ!!」
あたしは持っていた銃をラマーン目掛けて撃ちはなった。
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