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ガァアン!
と何重にも銃声が洞窟内に響いた。
生き物たちが石のように動かなくなる。
耳を塞ぐことも出来なかったラマーンは凄まじい破裂音と、弾丸が頬を掠めた衝撃に後ろへ転がった。
「ふー……っ! ふー……っ!」
怒りを押さえつける呼吸が激しくなる。
「つまらない奴め! 宝石のようなお前の眼の珍しさに拾ってやったが、お前は宝石以上につまらない奴だ! 二度とあたしに逆らうな!」
目を剥いて叫ぶ。
背を向けて洞窟を後にする。
そのあたしの背中には、ラマーンが言った大きな傷が生々しく刻まれてた。
それを隠しもしないあたしにラマーンは言った。
「俺の言ってることが、いまにわかるよ」
あたしは、頬を流れる血も舐めてやるもんかと決めた。
* * *
ある日のことだった。
森がいつもより騒がしかったので見に行けば、そこには仲間である盗賊たちが集まっていた。
「どうした? 何かあるのか?」
「お、お嬢……っ」
仲間はあたしの顔を見るとぎょっとし、何も言わずとも道を開けた。
何があるのかと覗けば、中心には人間の娘がいた。
この森を通ったせいで運悪くコイツらに捕らえられたのは一目瞭然だった。
見たこともない綺麗な服を着ている。
あたしはすぐにこの娘が気に入った。
「新しい獲物なんだ、ふぅん……。この娘はあたしがもらうよ! あたしのもんだ!」
全員に言い聞かせるよう大声で言う。
いつものように。
この娘も、あの洞窟の仲間にしようとした。
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