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あるとき、アタランテは廃墟と化した教会で発見された。
古代ローマの神々が住まう、万神殿の面影を残す聖堂。この地がキリスト教に支配されてからも、ローマ建築としての完成度の高さから、応用されてきた建物だった。
そのかつて祭壇であった残骸の御前に、アタランテはウェディングドレスに包まれて横たわっていた。しかし、そこに青年の姿はなく、二度と帰還することもなかった。
代わりにアタランテの隣には、スーツを着せられた別な木製の男性像が横たわっていたのだ。彼の造形は、アタランテを盗んだ青年に瓜二つだった。さらにその片手に大理石のリンゴを持ち、もう一方の手中にはメモ用紙を握っていた。
そして紙片には、以下の記述があったのである。あ
「命あるうちに気持ちを伝えられてよかった。アタランテ、君を愛している」
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