*お花見に行こう 前編*

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*山田先輩side* ーーー4月。出会いと別れの季節。 俺は大学に進学することが決まっていて、新学期が始まれば勇君とは離れ離れだ。 ……………………勇君。心配しなくていいからね。俺には君しか見えていないよ。 大丈夫、浮気なんか絶対しないから。だから、君も俺のことを忘れないで…………。 「おう、坊主。お前も便所行っとくか?」 「……………………いえ、大丈夫です………」 卒業式の日、勇君からお花見に行かないかと誘われた。 勇君はメソメソ泣き言を言うタイプではないけれど、きっと寂しくて俺と離れ難いから二人の思い出を作るつもりなんだと思った。 俺の恋人は、何ていじらしいんだろう。 沢山二人の思い出を作ってあげるからね?マイハニー。 「おい坊主、お前ちょっとこのゴミ捨てて来て」 「……………………はい」 ああ、それなのに。 何なんだ、この状況は!? 何で俺の隣が愛しいハニーじゃなくて、こんなチャラいおっさんなんだよ。 「不二也先輩、僕も行きましょうか?」 「あ、勇くっ」 「はあ?何、坊主はちびっこがいないとゴミも捨てられないんでしゅか~?」 かっちーん!!カチンと来たぞクソじじい!!! 「……………………一人で大丈夫です」 だよなぁと豪快に笑うおっさん、もとい本日の運転手のタケさんに心の中で悪態を吐きながら、サービスエリアに停められた車を降りた。
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