②響君と雪乃ちゃんとマリモの贈り物

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マリモから預かった包みをポケットに入れ、腹が減ったからどこかで食って行くかと学校から商店街の方へ向かう。 ウチの親は共働きだし、家に帰っても誰も居ないからな。 ハンバーガー、ラーメン、牛丼、カレー。 並んだ店を物色しながら歩いていると、俺の目の前に天使が舞い降りた。 違う、雪乃ちゃんだ。 「雪乃ちゃん!」 呼び掛けるとやっと俺の存在に気付いた雪乃ちゃんが振り返り、フワリと優しく微笑む。 「……望月先輩」 「雪乃ちゃん、買い物?」 「……はい、絵の具を……。望月先輩は……」 視線を落とした雪乃ちゃんは俺が制服なのを見て「……補習ですか?」と小首を傾げながら尋ねてくる。 「そう、さっきまで数学の公式と格闘してた」 「……それは、お疲れ様です……」 「いやいや、雪乃ちゃんに会えて疲れなんて吹っ飛んだよ~」 制服姿しか見た事が無いから、雪乃ちゃんの私服姿は初めて。 黒いVネックのカットソーにジーンズとシンプルだけど、その黒が雪乃ちゃんの白い肌を映えさせている。 うわ、マジ可愛いわ。 .
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