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雪乃ちゃんから意見を出してくれる事は滅多に無い。
多分、俺に遠慮してるんだろうな。
俺は、雪乃ちゃんがしてほしい事ややりたい事をもっと知りたいのに。
「素麺って……どこの店で食べられるんだろ?」
「……あ、あの、いいんです。望月先輩の好きな物で……」
あ、そういや夏の始めにウチの母親が素麺を箱買いしてたな。
『夏は素麺があれば生きていける』とか意味解んない事言って。
それに、素麺くらいなら俺でも作れる。
「えっと、家に来る? 家に素麺いっぱいあるし。ここからそんなに遠くないよ」
「……望月先輩の……家ですか?」
「あ、イヤ?」
いきなり誘っても迷惑だったかと思ったのに、雪乃ちゃんは無言でブンブンと首を横に振る。
「……嫌じゃない……です。でも、僕がお邪魔して迷惑じゃ……」
「そんな事無いって! 大歓迎!」
少し食い気味でそう答えると、雪乃ちゃんが安心したように微笑んだ。
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