第1章

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ふと、サチは目を開けました。 真っ先に目に入ったのは白い天井で。 傍には死んだはずの両親がいました。 「先生!! サチが目を開けました!!!」 そこは病院でした。 両親はすべて話しました。 サチの12歳の誕生日に、出先で対向車との衝突を避けるべく崖から落ちたこと。 そこでサチは後頭部を強く強打し、5年間植物状態になっていたこと。 少女は尋ねました。 「タイチって人を知らない?」 両親は首を横に振ります。 その夜、サチは病室の窓から夜空を眺めました。 そして思いました。 あの世界で出逢ったタイチという人物は、ずっと自分を守ってくれていたのではないのかと。 死神でありながら、サチに向けた笑顔は本物だったのではないのかと。 彼がくれたブレスレットに手を触れた少女は微笑みます。 「またどこかで会えるといいな」 眠りについたその部屋に、1つの影が写りました。 それは言います。 「生きろ」と____。
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