第2話  隣の黒髪ツインテール

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眠たくなるような1時間。 正確には50分。 「おいそこ寝んなよ」 ゆっくりと机に顔を沈めていく俺に、数学の先生は呆れた声でそう言った。 「止めるな、太陽は沈む」 そんな注意も届かない。 睡魔には勝てない。 そもそも、授業は個人のやり方を尊重し、校則で縛られていない。結果が全てのこの学校の、唯一の抜け穴なのだ。 「意味わからない事言ってないで起きろ...もう、有栖頼む」 「はーい」 【響谷有栖】(ヒビヤアリス)の声が聞こえた瞬間に、眠気がすぅーっと消えていく。 「わかった、起きます」 隣の席にいる有栖を見ると、書物を片手にこっちを見ていた。 なんと国語辞典。 「永久に眠らす気かっ」 「別に頭を殴るとは限らないじゃん」 いや、こいつは殴る...だって前回は殴ったからな。 「じゃあ何する気だったんだよ」 有栖を再度見てそう訊いてみると、有栖は人差し指を立てて一言。 「......刺す?」 なぜに疑問形? 「どっちにしろ痛そうだ」 俺は寝るのを止めて、授業を受けるフリを始めた。
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