第2話  隣の黒髪ツインテール

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有栖は小顔で身長も小さくて、わりと可愛い部類に入る女の子だが、常にツンツンしていて、しかも泣き虫だ。 天然のツンデレと噂されているが、デレた姿を誰も見たことがない。髪色は黒いが、期待を裏切らない安定のツインテールで登校してくる。 「なに?」 授業が終わり昼休みに入った頃、いつものように購買で買ってきたパンを持って自分の席に座ると、隣の席にいた有栖がふてぶてしい態度でそう言った。 別に用は無いのだが、毎回そんな風に俺が席に戻ると言われる。 「なんだよ、俺が自分の席でぼっち飯するのがそんなに不満か?」 有栖はジロっと横目で俺を一度見た後、ぷいっと視線を逸らすと、自分の弁当箱を取り出す。 「少し離れなさいよね、一緒にご飯食べてるみたいじゃない」 「隣なんだから仕方ないだろ?気にすんなよ」 コロッケがメインの惣菜パンを袋から出して一口。 「お前っていつも弁当だよな」 「アンタだっていつもパンじゃない」 有栖は小さすぎる弁当箱を開けると、分かりづらいが微かに口元を緩ませて笑う。 中身には少量のご飯と、卵焼きにハンバーグ、ポテトサラダにプチトマトが詰められていた。綺麗に盛り付けられたその中身は、中々美味しそうに映る。いや、きっと美味しいに違いない。 「今日もいい出来なのか?」 「...別に」 弁当はいつも自分で作っているらしく、上手く作れた日は今みたいに微かに笑う。最近気づいた。
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