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『多分、私が君の事を好きだったという話も、君が私の事を好きだっていう話も――――――』
彼女は夕陽を背に、紅い髪をなびかせながら淡々と僕に語り始める。
『――――――漫画のページを引き裂いたように忘れてしまうだろう』
自分の胸の前でページを引き裂く動作をすると、その見えないページを空に投げ捨てた。
同時に強い風が吹き、彼女の髪を揺らした。
『寂しい?寂しいでしょ?アンタの事だから本当は辞めたいと思ってるんでしょ?駄目よ』
『あはは...』
真剣な表情からいつもの彼女に戻ると、いつものように僕をそうからかった。
寂しいに決まっていた。だってこれから始まる事は、死と転生なのだから。
彼女は死ぬのだ。
僕と...この世界の為に。
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