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次に目を覚ました時には幼女はまだそこにいて、しかも幼女もいま起きたところだった。目を擦りながら俺にまたがる幼女は俺を見て言う。
「...パパ?」
「ち、違います」
「ママ?」
「いやいや、ありえんだろ」
「......だれ?」
「いやそれ俺のセリフだからっ!!」
夢じゃなかったああぁぁぁぁ、と心の中で叫ぶ。
部屋の鍵は俺しか持っていないし、窓などの戸締りはしっかり確認したはず。どこから湧いて出てきたんだコイツは...。とりあえず俺の上から退けるため、両手で持ち上げる。
「どっから入ってきたんだ?お前」
紅いワンピースを着た幼女は床に下ろされると、寝癖でボサボサになった紅く短い髪の頭をボリボリと掻きながら歩いていく。そして俺の机で止まり、引き出しを指さして言う。
「こっから」
「それ色々マズくねぇか?」
試しに引き出しを引いてみる。が、特に何もなく、いつも入れている文房具類が転がったりするだけだった。
「お腹空いた...餡子を挟んだ和菓子が食べたい」
「えらくピンポイントだな...」
幼女はベッドに座り、足をぶらつかせる。
「お前、名前は?」
「リトルダーク・バレット・ラヴトリガー。ラヴでいい」
多分日本人ではないと思っていたが、やっぱりそうだったみたいだ。横文字の名前を聞いてそう確信した。それにしても変な名前だ...ちょこっと見える頭の角は飾りなんだろうか。
本当にどこから入ってきたんだ?
「あぁ、もうよくわからん事はこの際どうでもいい...早く帰れ、家まで送ってやるから」
「...」
何かを思い出そうとしているのか、視線を上にあげて考え出すリトルダーク・バレット・ラヴトリガー。しばらくして視線が俺に戻ると、ゆっくりと首をかしげた。
「何も、思い出せない」
うん、厄介な事になりました。
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