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お腹を空かせたコイツに何かを食わせようと思ったが、家に何もない事を思い出した。だからと言って、こんな小さな子供に空腹と戦わせるわけにもいかず、外食に出かける事になった。
「飯食ったら思い出せよ」
「うん...」
自分のお腹を抱えながら、俺の隣をちょこちょこと付いてくる幼女。脱力した表情をしながら、よだれを垂らしている。
「ハンバーグ」
だら...。
「スパゲッティ」
だらだら...。
俺がメニューを言う度に、よだれの量を増やす。どうやら一般的な事は普通に憶えているみたいだ。
今に至る経緯の記憶と、自分自身の情報の一部が欠けている様子。
「あれ?家出るときに履かせたサンダルどうした?」
靴もないコイツにサンダルを履かせていたはずだったのに、いま裸足の状態だった。
「あっ、ホントだ」
「いや気づけよっ!!ったく、痛かったろ」
仕方なく肩車してやる。
「おお凄い!!ねぇねぇミサイルでる?」
「でねぇよ!!!」
頭をビシバシ叩いてくるがここは大人になって我慢するとしよう。近頃の子供は元気だなぁなんて思いながらも、俺も右手でじゃれてみる。これ知り合いに見られたら死ぬな...。
「にゃあああありゃああ、この右手つえぇ」
まぁ、いいか。
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