第1話 腹の上の幼女

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お腹を空かせたコイツに何かを食わせようと思ったが、家に何もない事を思い出した。だからと言って、こんな小さな子供に空腹と戦わせるわけにもいかず、外食に出かける事になった。 「飯食ったら思い出せよ」 「うん...」 自分のお腹を抱えながら、俺の隣をちょこちょこと付いてくる幼女。脱力した表情をしながら、よだれを垂らしている。 「ハンバーグ」 だら...。 「スパゲッティ」 だらだら...。 俺がメニューを言う度に、よだれの量を増やす。どうやら一般的な事は普通に憶えているみたいだ。 今に至る経緯の記憶と、自分自身の情報の一部が欠けている様子。 「あれ?家出るときに履かせたサンダルどうした?」 靴もないコイツにサンダルを履かせていたはずだったのに、いま裸足の状態だった。 「あっ、ホントだ」 「いや気づけよっ!!ったく、痛かったろ」 仕方なく肩車してやる。 「おお凄い!!ねぇねぇミサイルでる?」 「でねぇよ!!!」 頭をビシバシ叩いてくるがここは大人になって我慢するとしよう。近頃の子供は元気だなぁなんて思いながらも、俺も右手でじゃれてみる。これ知り合いに見られたら死ぬな...。 「にゃあああありゃああ、この右手つえぇ」 まぁ、いいか。
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